セルフイメージを変える
4年ほど前に、自分のことを「ビギナーサーファー」とわざわざ言わないと決めた。
その頃はサーフィンを始めて5年くらい。サーファーならご存知と思うが、5年目などまだひよっこ。でも、ある日、自分でビギナーサーファーだとラベルしつづける限り、そこから脱せないのだと思い至った。それで、自分のセルフイメージを変えることに決めたのだ。
とはいえ、さすがに上級サーファーと思い込むのは現実と違い過ぎてしっくりこないので、せめて自らはビギナーと積極的には言わないとだけ決めた。
具体的には、たとえば誰かに趣味を聞かれたとき、「サーフィンです」の後に「レベルはまだまだですけれど」というような一言を付け加えなくなった。
そうすると、サーフボードについてとか、フィンについてとか、サーフトリップについてとか、より突っ込んだ話題に進んだりもするけれど、「いやいや、わたしなんてそういうのがわかるレベルじゃないですから…」と言うことは止め、クールな顔で聞いて、知識を集めた。
そうこうしているうちに、自分とは住む世界が違い過ぎると思っていたザ・サーファーたちとどんどん知り合い、いつのまにか彼らの輪の中にいても場違いだと感じることがほとんどなくなった。
ジョエル・チューダーと一緒のブレイクでサーフィンをして、Hiって挨拶できるようになるなんて、サーフィンを始めた2010年のわたしは想像していなかった。
それもこれも、4年前に、自分のサーフィンに対するセルフイメージを変えたことから始まった気がするのだ。

なんでこんなことを突然書いたかというと、最近、仕事で美容系の体験レポートをする機会が多く、またも知らぬまに自分のイメージを小さな範囲でラベリングして固定していたことに気づかされたからだ。
わたしはファッションやメイク、行動において、わりと冒険するほうだと思い込んでいたけれど、体験レポートを通して発見したのは、挑戦するほうどころか、いつのまにかすっかり無難に落ち着いている自分だった。
無難に落ち着くことが悪いわけじゃないし、それが必要な時期もあると思うけれど、わたしは新しい自分を見てみたくなっている。
さて、どんな自分を描こう? サーフィンを通して、思い描いた自分になったというプチ成功体験があるから、これからだってどんな自分になることも可能だとばかみたいに信じられる。
思い描けるという時点で、その自分はもうわたしの中にいるのだ。ただ、まだ表に現れていないというだけ。どのわたしが出てきたがっているのだろう? 自分と会話するのは楽しい。わくわくする。