友だちの訃報
友だちを亡くしたショック状態から通常の精神状態になるまで1週間かかった。
友だちと言っても互いの結婚後はまず連絡を取っておらず、Facebookでゆるく繋がっているのみであった。そもそも結婚前だって仕事以外で会ったのは数回しかない。
もともとはコピーライターとしてかかわったウェブプロジェクトで出会った。今から10年くらい前だ。年齢が近かったことと、漢字で書くと全く違う名前なのにローマ字にすると一文字しか違わないという不思議な縁もあって、プロジェクトメンバーの中ではなんとなく一番近しく感じる女の子だった。
そのプロジェクトが終わった頃から私は広告や出版という慌ただしい世界から抜け出たいと考えるようになって、仕事を絞るようになり、彼女が勤めていた会社に出入りすることがなくなった。しかし、時を同じくして彼女はとある手術をして、それをきっかけに会社を辞めることになった。ヨガ留学をすることにしたと言って、連絡をくれて、初めてプライベートで会った。
最後に会ったのは、私がアメリカに行く直前だった。東京駅まで来てくれた。何を話したのかはすっかり忘れてしまったけれど、年下の男の子と付き合っていて、たぶん結婚することになると思うと教えてくれたことは覚えている。
ほどなくして、彼女のFacebookの名前は変わり、子どもも生まれた。かつて一緒に仕事をしていた時には見たことがない、柔らかな笑顔がタイムラインに流れる度、うれしく思った。
同じような時期に生き方を変えたから、彼女のその後はいつだってちょっと気になっていた。いま何に興味があるのか、いま何をがんばっているのか。ライバルというのではなくて、なんだろう、いい刺激を受ける存在。
とにかく言葉が出るままに書き進めてみたけれど、この文章は気の利いた締め言葉では終われそうにない。ただ、これを書く前に他のことを書く気になれなかった。
寂しいな。You will be missed.