人生2回目のオペラ鑑賞
2月にサンディエゴオペラの『リゴレット』公演を鑑賞した(そのときの投稿はこちら)。オペラ鑑賞は人生初だったのだが、これまで観た舞台芸術の中で一番感動したといって過言でなく、単純なわたしは今後もオペラを可能な限り鑑賞することを心に決めて、趣味に「オペラ鑑賞」を追加した。
今回は人生2回目。またもサンディエゴオペラ。演目は『カルメン』。
正直に言うと『リゴレット』を観たときほどの感動はなかったのだけど、2つのパフォーマンスを観たおかげで、自分が『リゴレット』のどこに惹かれたのかをちょっと語れるようになった。
『リゴレット』に惹かれた最大のポイントは、第3幕の有名な四重唱『美しい愛らしい娘よ』。
家の敷居の中にいる2人と、外にいる2人、つまり物語の中では互いにコミュニケーションを取る状況にない2組のやりとりを観客だけが同時に観られるのは映画などではなかなかない、舞台芸術ならではの演出のうえに、本来なら別々に会話をしているはずの2組のそれぞれのセリフ(歌)がどんどん重なり合ってテンポよく歌い上げていくまでの過程はオペラのことを何も知らなくても「これはすごい!」と鳥肌が立つほど圧巻であった。
もうひとつ惹かれたポイントは登場人物に感情移入しやすかったこと。
女好きのマントヴァ公は、確かに女好きでどうしようもない奴なんだけど、「ただ女の人が好きで仕方ない天然のおばかちゃん」のように描かれていたので可愛げがあるというか、本当には嫌いになれないし、そんなマントヴァ公に恋をするジルダはピュアでかわいらしい。観ているうちにキャラクターに理解なり共感なりを増していく作りになっていたので、その後の展開で「なんでそこでそんな行動を取るの!?」と興ざめすることがなかった。
どの『リゴレット』を観てもそうなのか、それともあのときのサンディエゴオペラの『リゴレット』がよかったのかをいつか知りたいところ。
『カルメン』はオペラとしての面白さはあったのだけど、鳥肌が立つような見せ場は今回は見つけられず、どの登場人物にもそこまで親近感を抱けなかった。だから、ほかの団体のもの、他のディレクター(や歌手)のものを観たらどう感じるかを知りたい。
というわけで、オペラ鑑賞にすっかりはまったことは変わらず。
歌、ダンス、演技、音楽(オーケストラ)、舞台装飾、衣装、すべての要素があって、それがまた細部まで綿密に、計算されて作り込まれていることがいいんだよなぁ。