経験はじゃまにもなるけど自信にもなる

ちょっと前に、気分の落ち込みやすさがあるのは、更年期のせいかもしれない、と書いた。

そのような仮説を立てて対策をしているうちに、漢方という手段を思い出して、当帰芍薬散を飲み始めた。

婦人科系のトラブルは、漢方だと血の滞り「お血」と言われて、日本では桂枝茯苓丸と当帰芍薬散がよく処方される。この2つの漢方薬は細かいことをいったらたくさん違いがあるが、大まかには桂枝茯苓丸は体力のあるタイプ、当帰芍薬散は体力のないタイプに向いていると言われる。

わたしはかつて子宮筋腫に悩まされていて、30代の頃、中国人の漢方医に診てもらったことがあって、そのとき、わたしのタイプは当帰芍薬散だと言われた。彼女(女医だった)によれば、中国人に比べて日本人は骨格が華奢な人が多くて、ぶっちゃけ日本女性はみんな「体力のないタイプ」と考えていい、というようなことも言っていた。

いまは、飲み始めて1週間くらいだが、すでに体調の改善、気分の改善を実感している。一番大きく感じるのは、睡眠の質の向上。夜中に一度起きてしまうことが多かったのが、この1週間は朝までぐっすりという日が多かった。

睡眠をよくするためにはバレリアンというハーブのカプセルを飲んでいたこともあるのだけど、昔飲んだときほどの効果は感じていなかった。いま改めて思うに、夜起きてしまうのは冷えがあったのかもしれない。だから、バレリアンより当帰芍薬散で変化を実感できたのかも。

「漢方薬は体質を改善する目的だからすぐには効かない」というような言い方をされることもあるけれど、わたしが学び、実際に体験した限りでは、体に合っている漢方薬であれば、なんらかのよき変化はすぐに感じられる。

ところで、当帰芍薬散は5年前の渡米直前まで飲んでいたのに、アメリカに来て、どこで探していいのかがわからず、しかもお金にまったく余裕がなかったために諦めたものの一つであった。

おかげで、車なし、まともな健康保険なし、データ接続できる携帯電話なし、クレジットカードも作れない(アメリカにおける信用がないから)という生活をしていた5年前のことを思い出して、あのときほしかったものがちゃんと手に入っているいまに気づけた。

余談だけど、子宮筋腫はあの後、ひどくなって、医師に「要輸血の貧血」と脅かされ、治療を受けた。これも思えば、症状がひどくなったのは、まともな保険に入れてからというタイミングでありがたかった。治療した結果、いまはなんにも気にせず活動ができるようになって、かつてつらかったことなど忘れていたほどである。

何か新しいことにチャレンジしたいときに、かつて失敗した経験がじゃまをして思い切れないこともあるけれど、逆にかつて成功した経験があると、似たようなことは「次もできる」と思えたりする。「なんかしらんけど守られている」と信じることができる。

別にいまあえてあのときの、40歳にして貯金を切り崩す生活、ほぼゼロからの生活基盤の構築ということをしたいと思わないけれど、あの経験は、「あのときできたんだからまたできる」という自信を持たせてくれたなあと改めて思うのだった。

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