久しぶりに小説を読んだら楽しかった

とある企画で本を紹介することになって、何を紹介してもいいので心のままに選んだら手に取ったのは小川洋子さんの短編集『海』(2006年)だった。

小川洋子さんは好きな作家で、この本もおそらく日本の家の本棚にはまだあるはずだ。

思えば幼い頃から本の虫で、高校生のときに村上春樹さんの小説を読んで衝撃を受けて、それ以後、小説をすごくよく読んでいたのに、ここ数年はまったく小説というものに食指が伸びなかった。

そのきっかけはやはり夫の病気と死だったように思う。かつて常に孤独を感じていたわたしは小説という虚構の物語に入り込むことで癒しや気づきを得て救われていたが、実際に自分の分身のような人が病気を患って自分の目の前から消えるかもしれないという現実に直面すると、虚構の物語は救いを求めるには淡く儚く頼りなかったのだ。

その後、スーツケース2つの荷物だけでアメリカに住み着いて、日本の書籍があまり買えない環境も手伝って、本は相変わらずたくさん読むのに、小説はほとんど読まなかった。海外で暮らすと自分では気づいていないうちに日本に住んでいるのとは感覚が変わっているようで、小説の世界の設定にいまいち入り込めないことが多いのも理由であった。

が、しかし、小川洋子さんの『海』を読み直したら、久しぶりに「小説っていいな!」とときめいた。どこに住んでいようが何をしていようが関係ない普遍的なところ、本質的なところまで誘われる、それこそが小説の真骨頂だ。

小川洋子さんの短編は、美しく静かに淡々と文章を重ねて、すごくリアリティーがあるのに、幻想的である。わかりやすい結論に読者を導くことがなく、読者は最後にポンとその世界の中に放り出されたまま置き去りにされる。それが、いい。

置き去りにされた小川洋子さんの小説の世界の中で、わたしはしばし余韻を楽しみ、現実に戻った後もずっといい気分だった。

わたしは、いつか自分は何かしら物語を書くのだとずっと昔からなんの根拠もなく思っているのだけど、またちゃんと時間を取って創作文に取り組んでみようと思った。

それで、またブログを立ち上げた(笑)。質はどうあれ、書くことはわたしにとっては苦痛ということはまったくなくて好きで仕方ないのだなと再認識。仕事で気を張って書くのはたまにつらいこともあるけれど、一方で、そういうときほどこのような駄文を書いてストレス発散したくなるので、好きなんだろう。

新ブログについては友人知人に伝えると読まれることが気になって純粋に創作ができないので(ただ、それは今後乗り越える課題でもあります)、まずは内緒でひっそり続けてみる。万一探し当てたらわたしに知らせずひっそり読んでください。

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