点と、点
年を重ねることの面白さのひとつが、点と点がつながって線になっていくことを実際に体験できることだと思う。
10代20代では、人生経験がまだ少なくてそもそも点が少なすぎた。30代になったら点は増えたけれど、つながりはまだそこまで見えなくて、自分がやっているややってきたことに対しての手応えが少なかった。
「あの点とこの点がつながって、こうなったか!」。そうしみじみと思い至ることが増えたのは40代になってからだ。

たとえば、高校卒業の後、アメリカの大学の日本校に行って英語を鍛えたこと。
30代で湘南、鵠沼に引っ越して、おかげでサーフィンを始めたこと。
夫が亡くなって、義理のお父さんに「せっかく車の免許があるんだからペーパードライバーではもったいない」と言われて、運転の練習したこと。
ひとつひとつは特にこの先のビジョンにつながるものではなかったけれど、その全部がつながって、いま、カリフォルニアで暮らしてサーフィンしている日々がある。
こんなふうに暮らす日がくるなんて思いもよらなかった、というのも本当の気持ちだし、一方で、どこかでこんな日がくることを知っていて、いろいろなことを選んできたんだとも思う。
点と点がつながっていまがあると思えるから、いまの小さな点たちについても、きっといつか何かとつながると希望が持てる。でも、つながるのが何かということまでいまは考えなくていいことも経験からわかるようになった。
ただ、目の前に現れた「ちょっと興味が持てること」に「本気で取り組んでみる」こと。それが全て、というか、それだけでいいのだ、と。