8.2.2019

うちのバックヤード(裏庭)の向こうには裏山がある。その裏山にはところどころに民家があるものの、辿って行くと、市が管理する巨大な自然公園とつながっている。
そのためかコヨーテの姿を見かけることは度々あったのだが、今朝、コヨーテかと思って目を凝らしたらヤマネコだった。クーガー、ピューマとも呼ばれるマウンテンライオンかと色めき立ったが、あとから冷静に判断すると、サイズから考えてボブキャットという小型のヤマネコだったと思う。
そのボブキャットは裏山の高いところから威風堂々とした足取りで下りて来た。わたしは家の中にいたので、写真に収めるためにバックヤードに出ようかと一瞬考えたが、ボブキャットが気づいて逃げてしまうか、あるいは犬たちが飛び出して大騒ぎするか、どっちにしてもいい写真を撮れる可能性は少ないと判断して、窓越しに静かに観察した。
ボブキャットは裏山と我が家のバックヤードの境にある柵のところまで悠々と歩いて来て、中を覗き込むようにしたが、すぐ去って行った。犬の匂いがしたのかもしれない。
自然が豊かに残されている場所に住むと、こんな風に、いろんな動物と共存しているのだということを否応なしに思い出させてもらえるのがいい。人間が密集する都会は自分たちの都合のいいように開発されているから、よほど意識的でないと我々は地球を棲家とする動物の一種に過ぎないということを忘れやすく、ゆえに傲慢になりやすい。
早朝、まだ日の出ていないバックヤードに犬たちを離すと、彼らは昼間のようにはしゃいで駆け出すことはせず、まず裏山に顔を向けて匂いを嗅いでいる。暗闇に沈む裏山は、この時刻はまだ人間の世界ではないから調子に乗らないようにと忠告しているような独特の雰囲気があるって、畏怖を感じる。
ずっと海の近くに住みたいと思っていたが、この環境で暮らせているのはありがたいと思うようになった。犬を飼ったおかげか、年を取ったからか。