10.1.2019

アメリカに来るときに、親友がプレゼントしてくれた、愛犬オセロを模した小さなフェルトのぬいぐるみがある。わたしにとっては親友、犬、義理のお父さん、そして亡くなった夫、いろんなことが含まれた、渡米前のしあわせな湘南での暮らしを象徴するようなアイテムで、すごく思い入れがある。アメリカに来て3回、住む家を変えたが、どの家でもベッドサイドにはそのぬいぐるみを飾ってきた。

昨日、寝室に入った子犬ユパがなかなか出てこないので嫌な予感がして見に行ってみると、オセロのぬいぐるみをはぐはぐと破壊しようとしているところだった。思わず叩きたくなったがさすがにそこは抑えて、「No!」とたぶんこれまで怒った中で一番大きい声を出した。真剣な目で「Leave it」と言ったら、さすがにユパはいつもとは違う様子を察して、わりとすぐにぬいぐるみを離してくれた。

ぬいぐるみはほぼ無傷であったが耳が取れてしまっていた。瞬間、涙が出た。ぬいぐるみをそのへんに転がしていたなら自分の落ち度と思えるが、万一にでも遊び道具にされないようにとそこそこ高い棚に飾っておいたのでなおさら腹立った。「オセロだったら絶対こんなことにしないのに。このバカ犬め!」。

そもそもうちの犬がオセロだったらこんなことしないのに。ほんとだったら、できることなら、わたしだってオセロといたいのに。オセロがいないから、ユパにしたのに、オセロとユパは違う…ぐるぐるぐるぐる…ああ、あの湘南の日々は戻らない…。冷静に考えたらぬいぐるみはほぼ壊れていないし、ユパはまだ7カ月の子犬で好奇心旺盛なのは普通のことだし、(よくもわるくも)そもそも、たかだかぬいぐるみなのだけど、いろんな感情が一緒くたになって収まりがつかなくなった。

感情的になっていることがわかったので、ひとまず別の部屋で一人になって筋トレをし(笑)、ある程度冷静になったところで、相方とユパに向かって宣言した。「とりあえず腹が立つし、悲しいので今日は怒り続ける。でも一晩寝たら水に流すことを約束する」。

ユパはもちろん言葉はわからないと思うけれど、わたしが何やら怒っていることはわかったみたいで、いつもなら寝るときに枕元にやってくるのに、その日の夜は寝るときになってもわたしの足元からさらにちょっと離れたところで、小さく丸くなっていた。

それがあまりにかわいくていじらしかったのでわたしの怒りは5分も持たなかった(笑)。ユパ、おいで、と呼んだら、「え、行っていいの!?」って顔して尾っぽ振ってうれしそうにきた。

わたしの母は昔は感情の浮き沈みが激しくて、幼い頃のわたしは、いつも母の機嫌をうかがっていた。でも、母もこうして怒りながら葛藤していたのかもしれないな。自分が子どもを産み育てて初めて親の気持ちがわかるとよく言うけど、子どもがいないわたしは犬によってParenthoodに近いものを学んでいるんだろうなといつも思うのだ。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中