12.17.2019

 わたしには自分の犬がどんなオモチャを欲しているか、瞬時にわかるという特技がある。犬の飼い主はみんなそうかと言えばそんなことない(たとえばうちの相方がそうだ)から特殊能力だと言いたい。

 どうやらうちのユパ様は現在持っている全てのオモチャにお飽きになり、そのへんに脱いであった人の靴を破壊したり、ベッドの下に潜り込んでお宝探しをしたり、もてあましたエネルギーをあらぬ方向に爆発しているので、先日、新しいオモチャを買いに出かけたのだが、わたしにはわかるのだ、これはきっとすぐ飽きる、これはきっと熱中する、というのが。

 そうして絶対これは好きであろうと確信して購入した写真の赤いボールは果たしてその通りで、散歩に行くときも、それなしでは出かけないとダダをこねるくらいの寵愛を受けている。「持って行ってもいいけど、だったらちゃんとずっと咥えていてね」ととりあえず言ってみる。わかりっこないのだが、一所懸命、首をかしげて、わたしが話していることを聞いてはいる。

 案の定、歩きながら、ときどき咥える力が緩んでボールは落ちる。「ほら、言わんこっちゃない」とわたしが拾おうとすると「待て!俺様のだ」と言わんばかりにすかさず奪い取る。そしてしばらくボールを咥えながら歩いて、また落とす。わたしが拾おうとすると奪い取る。これが数回繰り返された後、わたしが拾っても、「もともとそんなものはなかった」といわんばかりに知らんぷりするようになる。

 次に散歩に行くときも同じことの繰り返し。わたしはかわいくて仕方なくて、また同じことを言う。「持って行ってもいいけど、ちゃんとずっと咥えていてね」。当然、同じことが繰り返されるのだが、そのやりとりのすべてが面白いのでよいのだ。ああ、なんだろう、犬と暮らす、この楽しさは。

 当たり前だけど犬にも個性があって、ユパは頭はよく、言われていることはちゃんと理解しているが、頑固。たとえば人間の靴で遊ぶことは、怒られることだと当然わかっている。でも、若いから好奇心が勝るのか、我々がまだ主従の主になれていないから言い聞かせられないのか、あるいは犬種の特徴として意志が強いのか、やりたいと思ったことに対してはけっこうに頑なに「駄目と言われるのわかっていますけど、止めません」と意思表示する。

 対して日本で義父と暮らしているラブラドールのオセロは、自分のやりたいことよりも我々に怒られないこと、褒められることを優先する傾向にあった。一緒に暮らしていた頃は、むしろいい子にふるまいすぎることが心配なくらいであったが、本当にやりたいことにかんしては駄目だと制止する声を「聞こえないふり」して貫こうとすることにあるとき気づいた。なので、彼が聞こえないふりをするときは(それはそんなになかった)、それくらいまで強い気持ちのある自己主張なのだと思って、わたしも命令が聞こえていないふりをしてあげるようにしていた。

 こういうふうに、犬たちと個別の関係性を築いていくのは楽しい。今年はいろんなことがあったが、犬が我が家に来たということが一番大きい変化であった。犬が来たから変わったこともたくさんあるし、変わる準備ができたから犬が来たとも思うし、とにかくわたしはこの地で生きていくのだとようやく地に足をつけた気持ちになっている。

12.17.2019” への2件のフィードバック

  1. Kazuesatoさん、わかっていると思っているだけで犬にしたら見当違いかもしれません(苦笑)。猫は犬よりわかるのが難しいですよね、きっと…

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