02.04.2020

亡くなった夫のお母さん、つまりわたしにとって義理のお母さんは、わたしが嫁入りしたときには亡くなっていた。お母さんのことを、夫がどれだけ好きだったかは彼の言葉の端々からわかり、当然のことながらわたしもお義母さんに(勝手に)いい印象を抱いていた。結婚する前も、してからも、亡くなったお義母さんが残したという格言の数々をわたしは亡夫から聞かされ、その度にすばらしい精神の持ち主であったのだなぁとの思いは増した。そんなお義母さんの格言のひとつが「生きている人のことを優先しなさい」。お義母さんは長患いで、いつ何があるかわからないと息子である亡夫は常に気にかけていたわけだが、お義母さんは「何があったとしてもこれから死ぬ人のことよりこれから生きていく人のことを優先しなさい」と言っていたそうである。さて、自分でもどんな心持ちで迎えるか予想できなかった8年目の亡夫の命日。彼のことを偲びながら、でも、わたしは普通に犬の散歩に行き、仕事に行き、ごはんを食べている。それでいいよ、生きている人のことを優先すればいい、そう言ってくれるに違いないと思うのは自己弁護か。