今はあっというまに過去になる

Facebookで「8年前の今日」が上がってきた。雪の朝の湘南・鵠沼海岸。昨年亡くなった名犬オセロと散歩をしているときに撮った写真。

鵠沼に住んでいる前夫と結婚したことで、わたしは海に徒歩数分で行けるという環境に暮らせることになった。それまで東京目黒区の駒沢通りにほど近いところに住んでいたわたしには鵠沼の環境は神様がくれた第2のアナザーライフだった。おかげで前夫が亡くなったあと、東京に戻ろうとはまったく思えなかった。かといって夫としていたアナザーライフを一人でずっと続ける気もしなかった。大好きな場所なのに、なんの不満もないのに、ここにずっといるということを想像すると気持ちがしゅるしゅると小さくなるのだった。

おそらく、結婚前、東京最前線にいたわたしには、鵠沼の暮らしはよくも悪くもちょっと隠居生活ぽかったんだと思う。亡夫もわたしも大好きだったテレビ番組「人生の楽園」の世界。当時まだ30代だったわたしにとっては、人生の楽園は共に歩く夫という家族がいたからこそ楽しいものだった。夫が亡くなって、一人で人生の楽園を続けるにはわたしはまだ若かった。もうそんなに忙しく働きたくない、ゆっくりは暮らしたい、だけど、たぶんここではない。で、意を決して渡米した。

というわけで、自分の意思で渡米したくせにしょっちゅうホームシックになって、「サンディエゴはサーフィンには最高の環境だね」と人に言われても、「でも海に行くのに車に乗らなきゃいけない。鵠沼のときは歩いていけたのに」などとのたまっていた。

朝、海辺を犬と散歩して見る朝焼け。鵠沼のビーチはやや南に面しているので、夕方に歩くと東寄りの空はもう夜空で、西寄りの空はまだ夕焼けというグラデーションを見ることができ、それも好きだった。夫が亡くなった後、彼のことを思い出して泣けるときは、よく海辺を散歩した。海辺は夕方ともなるとまっくらで、波の音もあって、歩きながら泣いていても誰にも気づかれないので、泣くにはよい場所なのです。犬を連れていれば怪しくもないし。

ああ、懐かしい、湘南の日々。あのときあたりまえだった日常はもう遠い美しい景色になってしまった。

でも、そんなふうにノスタルジックになる一方で、いまの自分の場所はサンディエゴにあるんだとも感じる。強く強く感じる。今あたりまえの日常もいつか遠い美しい景色になるから、今を大事にしよう。

ところで、なんでわたしはサンディエゴで海の近くに住むのは無理と思っているのか。いや、実際高いんだけどね。でも、わたし、小さい家でいいから平屋でいいから、やっぱりビーチシティーで暮らしたいわ。そんな欲望がむくむく湧き上がった。あたしの夢は、鵠沼でのあの日々を、サンディエゴで構築することなのです。渡米からもうすぐ7年、着実に近づいている。次のビッグステップは海辺に住むことだ。家、買ったる!と、とりあえず願望を宇宙に放っておきます。ほろりとするいい話を書いていたつもりだったのに最後は欲望にまみれました。でも欲って生きるパワーだし、といいふうに解釈する。ふふふ。

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