昔、好きじゃないと思っていたこと

編集ライターとして携わる仕事の工程の中には、とりわけ好きなものとそうでもないものがある。

そうでもないものの代表格はわたしの場合は、校正。あと、取材の録音テープを聞いてそれを文字に起こすのもあまり好きじゃない。けれど、どちらも満足のいく誌面を作るのにはわたしにとっては重要なことなので、文句は言わずにがんばっている、という感じ。

一方で、とりわけ好きな工程の代表は、デザイナーさんから最初のデザインが上がってくるときだ。

わたしは理論で誌面を作っていくタイプなので、「この要素をここに、このくらいの大きさで配置したい」、ということを考えてラフの構成要素を決めることは好きなのだが、自分でラフの構成案を手書きした段階ではまったくもって完成系が見えていないことが多い。原稿も、いちおうそのラフ構成をもとに書いていくわけだが、デザイナーさんに素材としてわたす段階では、じつは原稿にいまいち自信がないということもけっこうある。

ところが。

ひとたびデザイナーさんからデザインが上がると、その不安が吹き飛ぶことが、ほとんど。

心もとなかった原稿の文章が、デザインの中ではすごく自信満々に主張しているように見えるのだ。

まあ、まれに、こういうことが起こらないことがあるのだけど、世界には確実にわたしの意図をくんでくれ、なんならわたしの意図はくみつつ、わたしには思い浮かばなかった展開をしてくれる、というデザイナーさんはいて、そういう人と仕事ができることは、この仕事の喜びを何倍にもしてくれる。

昔、大変お世話になったコピーライターの先輩は、いろんなところでたくさんの賞を取っていたが、「自分がコピーライターとして賞をとった広告のほとんどは、アートディレクターのXXXさんと組んだものだ」とよく言っていた。その意味するところは、コピーライターとして賞をとったけれども、そのコピーをより力強くしたのはデザインもしくはアートディレクションの力が大きいのだ、ということだと思う。

以前は一人でもくもくと仕事をするほうが好きだったけれど、最近は人と組むのが好き。編集者やデザイナーさんにわたして終わりではなく、一緒に作っていくというのが楽しい。そうやって人と組むおかげで、自分の能力以上の何かができたりするし、自分の能力を引き上げてもらえたりする。

まさかそんなふうに思うようになるなんて。かつてはハイパーセンシティブでいっつも疲れていて人をなるべく避けていた自分からは信じられない。人は変わるもんだなぁ。

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