ぼんやりさせておく vs はっきりさせておく
唐突だが、私は、自分の意識の中にぼんやりとあるものごと、つまり一言で言うと目に見えないことや形のないものについて、スパッ!と形容する言葉を見つけることが好きだ。
たとえば、誰かの何かの言動でモヤモヤしたとき、「苛立った!」で終えるのではなく、「この苛立ち、いやモヤモヤは何なんだろう?」といちいち考える。もちろんちょっと考えただけではわからないから、あらゆる方向からその苛立ちをしつこく覗き込む(笑)。どういうことかというと、「体の感覚的には頭にきているというより、肩がこわばるように感じるな」とか、「この人でなく違う人が同じ言動をしたら私はモヤモヤしただろうか?」とか、「このモヤモヤはモヤモヤという以外の言葉にするなら何がしっくりくるだろうか」とか、わりとしつこく追求する。
そういうことをしていると、ある瞬間に、脳のネットワークの何かと何かがつながって、「あ、このモヤモヤは悲しみか!」などとピンッ!とくるときがある。日本語では気づき、とよく言われるし、英語ではAha! Momentとも言われたりする(ただ、Aha! Momentを訳すなら気づきというより、納得がいく、合点がいく、という感じで、その使われ方をすることも多い)。
で、私にとっては、この気づきこそが、カタルシス。やめられないのだ。
ただ、これにはマイナス面があることも自覚的ではある。
たとえば、(これはあまりいい例ではないが)自分が食べたい食べ物の味のイメージがぼんやりあったとして、「なんか、ソースな感じで、衣が絡んでいて、ご飯の味もあって…あ、これはカツ丼だな!」と決めてしまうようなことが起こる。
これの何がマイナスかというと、もし、自分の食べたい味にカツ丼というラベルを与えなければ、ご飯に天かすをぶっかけてソースで食べるという方法を思いつくなど、オリジナルというかクリエイティブに新しいことを生み出せた可能性があったかもしれないということ。
つまり、ピン!と言語化できるということは、単に自分の知っている何かと結びつくだけに過ぎないのだ。でも、早々に自分の知っているものごと、この場合は「カツ丼」というふうに決めてしまうと、自分のこれまでにはない新しい何かを生み出せたかもしれないチャンスを逃すことになりかねない。
いや、マイナスって書いたけれど、もちろん本来はどちらがプラスかマイナスかではない。この場合のプラスマイナスは状況によっても変わるし、自分が求めているものが何かによっても変わる。だから、どちらが良い・悪いではなくて、ものごとというのはそういう性質があるねっていう意識を持っておけばいいんだと思う。
で、まあ、考察のようなものをずらずらと書いてきたけれど、本題は、フリーランスになった自分の肩書きについて、ピッタリくるものが見つかってスッキリしている、ということを書きたかったのでした(ここからお知らせの気持ちが強まるので、急にですます調です 笑)。
いやね。「ライター」って言われるとちょっとピンとこなくなってきていたんですよ。
だって、ラジオ音声の編集したり、YouTubeの動画撮影・編集したり、 特定の活動や団体のSNS投稿を請け負ったりもしているし。
もちろん、書くことがメインだけど、それも自分発信というより、自分が心の底から共感している企業なり組織なりの伝えたいことを、どのように発信すればいいかというスタンスで書いていて、それがこの先、自分のメインストリームの仕事になっていくと感じています。でも、そういう仕事の仕方って、自分が思う(そして以前やってきた)ライターではないんですよ。
でね。おそらく業界の人なら、私がやっていることは「ライター」っていうより「コピーライター」の仕事の領域だよねって、わかってくれると思います。でも、一般の人はコピーライターっていうと広告の文案を書くってイメージするだろうから、フリーランスになってコピーライターをやっています、と言ってしまうとそれはそれで自分が目指したい方向性と乖離していて誤解を招きそうだなと、密かに悶々としておりました。
ところが、最近は「Contents Writer /コンテンツライター」っていう肩書きがあるんですね。それを知って、コンテンツライターというのが私の「知っていること」になったおかげで、これまでずっとモヤモヤしたものとつながったわけです。私がやっているのはこれじゃん!と。正確にいえば私がやるのは書くことだけじゃないから、コンテンツライター/クリエイターになるんでしょうけど。でもまあ、メインは書くことであることは変わらないのでコンテンツライターが一番しっくりきます。
先ほど、決めつけてしまうことのプラスマイナスについて触れましたが、今回、少なくとも今の私についていえば、スッキリと言語にできたことで、「もうちょっと勉強しておきたいスキル」や「そこは頑張りすぎなくていいかなと思う領域」が明確になってほっとしているので、その点ではプラス、と思っています。
が、コンテンツライターとして仕事をやっているうちに、他にやりたいことがどんどん出てくる可能性はありますし、自分が思うコンテンツライターの域を出た仕事の依頼をいただく可能性もあります。その時、この肩書きにこだわっていると、「それは私の仕事ではない」と考えるまもなくシャットアウトしてしまい、自分の人生をもっと面白く拡大できるかもしれない可能性を狭めてしまうこともあるから、決めたはいいけどこだわらない、というのが私の目指したいところであります。
いやー、しかし、スッキリしましたわ!