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12.26.2019

 マーティン・スコセッシ監督のNetflix公開作品、『The Irishman』を見た。主演はロバート・デ・ニーロとアル・パチーノ。このような大作が、Netflix配信ということに時代の変化を感じずにいられない。映画というのは何をもって映画なんだろう。そんな問いも出てくるが、回答は出なさそうだし、ただ言いたいだけでした(笑)。  さて、映画『The Irishman』は、いまは高齢者施設にいる殺し屋フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)の回想という形で語られる。回想される過去の時間軸が2つあって、そのうえ、いまの老人になったフランクもちょいちょい挿入されるので、最初はなかなか理解ができなかった(英語で見たせいもある)。でも、だからといってつまらないということはなく、3時間30分の長編ながら飽きることなくぐいぐいと引き込まれた。  この映画は、激動のアメリカ史として見られるし、マフィア映画としても見られるし、いろいろな見方があると思うが、わたしは、フランク・シーランという一人の男の人生物語として面白かった。家族を守るため、あるいは、誰かとの絆を守るため、裏社会を必死に生きたフランクだけど、高齢になったいま、共に生きた関係者は全員先立ち、自分がしてきたことを知る人はいないし、してきたことを「すばらしいことだ」と言ってくれる人も、「仕方のなかったことだ」と言ってくれる人もいない。なんだかとても切ないラストである。  マーティン・スコセッシが77歳ということを鑑みると、ますます、これは老いというか、自分のしてきたことは人生の最後にどう見えるのか、あるいは、自分のしてきたことが人生の最後にどう影響するのか、そんなことを伝えているように思えてならなかった。何をしても、しなくても、人は老い、必ずいつかその人生は終わるのだ。  ところで、この映画を見ることにしたきっかけは、わたしが担当している映画連載コラムの著者、映画史研究家の宮尾大輔さんが解説を書いてくれたからだった。これまで、宮尾さんが解説を書いてくれた映画を「見たい」と思っても、忙しさで忙殺されているうちに次の原稿がくるということが多かったので、2020年は見たいと思ったものはとっとと見るの精神でいきたいと思っている。わたしの中でプチブームの5秒ルールを採用する範囲を、2020年は広げようかと。

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