yoga & healing with Satoko

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体は全部知っている

5〜7分

リード

美しい蝶がいました。
目を奪われて、しばし見入っていました。

そのあいだ、わたしが立っていた草原では
風が吹き、鳥たちが鳴いていました。
けれども、蝶に夢中のわたしは気がつきません。

やがて蝶が視界から消え、
我に返ったわたしは家路に着きます。

目を閉じると、今もあの美しい羽が
揺れるさまが思い浮かびます。
そこまで見えた記憶はないのに、
触覚が動いているところまで見える気がします。

わたしが見たのはアゲハ蝶でした。
でも、自覚がないだけで
わたしの体は、アゲハ蝶が舞っていた
その場のすべてを感じ取っています。

生暖かい風が吹いていたこと。
鳥たちがうららかに歌っていたこと。
もしかしたら遠くでは
サイレンの音が聞こえていたかもしれません。

ヨガの練習は、
そういった意識の全体を
体を通して思い出していく時間なのだと思います。

二十年前、三十歳だったわたしは
東京で受けた初めてのヨガクラスで
泣いてしまいました。

たぶん本当はずっと泣きたかったのです。

でも当時のわたしは、
前を向かなきゃいけないと思っていて
それに気がついていませんでした。

「人生はいいことばっかりじゃない。仕方ない」
そう言い聞かせていました。

ところがヨガをしたら、
泣きたかった自分が出てきました。

体を動かし、呼吸をしていただけなのに
奥にしまっていた感情が
ふっと浮かび上がってきたのです。

そのとき初めて、
「わたしは本当はつらかったんだ」
と気がつきました。

ホットヨガだったので
涙も汗もわかりゃしない。
おかげで心ゆくまで泣けて
帰り道はみょうにスッキリと
穏やかな気持ちだったことを今も覚えています。

わたしたちは普段、
自分が意識できている世界だけを
現実だと思って生きていることが多い気がします。

でも実際には、
体はもっと多くを感じ取り、
心はもっと多くのことを知っています。

それらを切り離したままだと、
本当の意味で自分の人生を生きることは
難しくなると思っています。

ヨガのプラクティスは
そうして分かれてしまったものたちと
体を通してもう一度つながっていく時間。

体、呼吸、感情、思考…内側にあるぜんぶを
ひとつの「自分」として感じていく。

そんな時間になることを意図して
クラスをさせてもらっています。

蝶を見ていたあの草原で、
気づいていなかった風や
鳥たちの気配まで感じられるようになる。

そんなふうに
自分の世界が少しずつ広がっていく。

そうして広がっていった先に
豊かさや自由があって
のびのびとした真の自分が立ち上がる。

わたしたちはその旅をしている仲間。
またスタジオでお会いできることを
楽しみにしています。

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